「1日8時間眠るのが理想」と、長いあいだ信じていました。
けれど、厚生労働省の睡眠ガイドを読んでみると、大人の目安として書かれていたのは「6時間以上」でした。
さらに、年齢を重ねた人には「寝床にいる時間が8時間以上にならないように」とすすめています。
理想の睡眠時間は、年齢によって変わります。
そして同じ年代でも、人によって必要な長さは少しずつ違います。
この記事では、公的なガイドと研究データをもとに、年齢別の睡眠時間の目安と、自分に合う長さの見つけ方をやさしく解説します。
- こどもから高齢者まで、年齢別の理想の睡眠時間の目安がわかる
- 年齢とともに睡眠時間が短くなる理由がわかる
- 日本人の平均睡眠時間と、睡眠が足りていない人の割合がわかる
- 「睡眠休養感」を手がかりに、自分に合う睡眠時間を見つける方法がわかる
- 睡眠時間を確保して、眠りの質を高めるセルフケアがわかる
理想の睡眠時間は年齢によって変わる
はじめに、年齢別の睡眠時間の目安を一覧で確認しておきましょう。
数字の意味を知っておくと、自分の眠りを見直すときの物差しになります。
年齢別の睡眠時間の目安一覧
厚生労働省は2024年に「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表し、年代ごとの推奨をまとめています。
幼児については、ガイドの中で米国睡眠医学会の推奨が紹介されています。
| 年代 | 睡眠時間の目安 |
|---|---|
| 1〜2歳 | 11〜14時間(昼寝を含む) |
| 3〜5歳 | 10〜13時間(昼寝を含む) |
| 小学生 | 9〜12時間 |
| 中学生・高校生 | 8〜10時間 |
| 成人 | 6時間以上(個人差がある) |
| 高齢者 | 寝床にいる時間を8時間未満に |
こどもは「何時間眠るか」、大人は「最低限どれくらい眠るか」、高齢者は「寝床に長くいすぎないか」というように、年代によって目安の考え方そのものが違うのが特徴です。
年齢とともに睡眠時間が短くなる理由
ガイドでは、健康な人の睡眠を調べた研究をもとに、夜に実際に眠っている時間が年齢とともに短くなることが紹介されています。
目安としては、15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間です。
成人してからは、20年ごとにおよそ30分ずつ短くなっていく計算です。
年齢とともに深い眠りが減ることや、体内時計のリズムが変わることなどが関係していると考えられています。
年齢とともに眠る時間が短くなるのは、多くの場合、自然な変化です。
「8時間眠るべき」がすべての人に当てはまらない理由
「8時間睡眠」は、よく耳にする数字です。
けれど、ここまで見てきたとおり、8時間が目安になるのは主に10代までです。
大人になってから毎日8時間眠ろうとすると、眠くないのに寝床に入り、なかなか寝つけずに焦ってしまうことがあります。
大切なのは、数字に自分を合わせることではありません。
自分の体が必要としている長さを知って、それを毎日きちんと確保することです。
年代別にみる理想の睡眠時間と気をつけたいこと
ここからは、年代ごとの目安と、それぞれの時期に気をつけたいことを見ていきます。
家族の睡眠を見直すときにも役立ててみてください。
こども(小学生〜高校生)は「長めの睡眠」を守る
小学生は9〜12時間、中学生・高校生は8〜10時間がガイドの目安です。
こどもの睡眠は、体の成長や、日中の集中力・気分の安定と深く関わっています。
ガイドのこども版では、朝は太陽の光を浴びて朝食をとり、日中は体を動かし、夜ふかしを習慣にしないことがすすめられています。
スマートフォンや勉強で寝る時間が遅くなりやすい年代なので、まずは寝る時刻を家族で決めておくと安心です。
大人(20〜50代)は「6時間以上」が最低ライン
大人の目安は、6時間以上です。
ガイドでは、世界の約92万人分のデータを分析した研究で、睡眠時間が6時間未満の人は死亡リスクが高くなることが紹介されています。
一方で、自己申告による複数の研究では、7時間前後眠る人が、生活習慣病やうつ病、死亡のリスクがもっとも低いとされています。
つまり、6時間は「これより下回らないようにしたいライン」で、多くの人にとっては7時間前後がひとつの目安になると考えるとわかりやすいでしょう。
仕事や家事、介護などで忙しい年代ですが、睡眠時間は毎日の体調の土台になります。
60代以降は「寝床にいる時間」を見直す
高齢者の目安は、睡眠時間ではなく「寝床にいる時間」で示されています。
ガイドでは、寝床にいる時間が8時間以上にならないようにすることがすすめられています。
年齢を重ねると、眠りが浅くなり、夜中に目が覚める回数も増えていきます。
それでも「もっと眠らなければ」と早くから寝床に入ると、眠れない時間が長くなり、かえって眠りの満足感が下がってしまいます。
ガイドで紹介されている研究でも、65歳以上では寝床にいる時間が長すぎると、健康へのリスクが高まることが報告されています。
眠れないまま横になっている時間を減らすことが、60代以降の眠りを整える近道です。
日本人の平均睡眠時間と、足りていない人の割合
次に、日本人が実際にどれくらい眠っているのかを見てみましょう。
平均の数字だけを見ると、意外に感じるかもしれません。
平均は7時間54分、ただし休日や若い世代も含めた数字
総務省の「令和3年社会生活基本調査」によると、10歳以上の1日の平均睡眠時間は7時間54分でした。
5年前の調査より14分長くなっています。
ただし、この数字は休日も含めた1週間の平均で、睡眠時間の長いこどもや高齢の世代も含まれています。
働き盛りの世代の平日の睡眠は、これよりずっと短いのが実情です。
40〜50代の女性は4割以上が6時間未満
厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年)では、1日の睡眠時間が6時間未満の人は、男性で37.5%、女性で40.6%でした。
年代別に見ると、男性は30〜50代、女性は40〜50代で、4割以上が6時間未満となっています。
仕事に家事、家族の世話が重なる年代は、睡眠時間をけずって毎日をこなしている人が多いことがわかります。
最近疲れが抜けにくいと感じている人は、50代が疲れやすくなる原因と対策:女性・男性別の変化とセルフケアの方法もあわせて読んでみてください。
短すぎても長すぎても体に負担がかかる
睡眠時間は、短すぎても長すぎても体に負担がかかるとされています。
ガイドで紹介されている研究では、高齢者の場合、7時間未満の短い睡眠で死亡リスクが1.07倍、8時間以上の長い睡眠で1.33倍になると報告されています。
長く眠ればそれだけ体によい、というわけではないのです。
自分にとってちょうどよい長さを見つけることが、健康を守るうえでも大切になります。
自分に合う睡眠時間の見つけ方
年代別の目安は、あくまでも出発点です。
ここでは、自分に合う睡眠時間を見つけるための3つの手がかりを紹介します。
「睡眠休養感」で判断する
いちばんの手がかりは、朝起きたときに「よく休めた」と感じられるかどうかです。
ガイドでは、この感覚を「睡眠休養感」と呼び、よい睡眠の目安として大切にしています。
時間が足りていても、朝からだるさや眠気が強いなら、眠りの質に課題があるのかもしれません。
反対に、6時間台でも毎朝すっきり起きられて、日中に強い眠気がなければ、それがその人に合った長さだと考えられます。
休日の「寝だめ」は睡眠不足のサイン
平日より休日のほうがずっと長く眠ってしまう人は、ふだんの睡眠が足りていない可能性があります。
ガイドでも、週末に長く眠る「寝だめ」は、慢性的な睡眠不足のサインとされています。
休日に昼近くまで眠ると、体内時計がずれて、月曜日の朝がつらくなる原因にもなります。
休日もできるだけ平日と同じくらいの時刻に起きて、足りない分は平日の就寝を少し早めて補うのがおすすめです。
2週間の睡眠メモで自分の長さを探る
自分に合う長さを知るには、2週間ほど睡眠の記録をつけてみる方法があります。
メモする項目は、寝床に入った時刻、起きた時刻、朝の目覚めの感覚を5段階で表したもの、日中の眠気の4つで十分です。
記録を見返すと、「7時間眠った日は午後も眠くならない」「6時間を切ると朝がつらい」といった自分のパターンが見えてきます。
数字よりも、体の感覚を信じて長さを決めていきましょう。
睡眠時間を確保して、眠りの質を高めるセルフケア
自分に合う睡眠時間がわかったら、次はそれを毎日確保して、眠りの質を高めていきます。
どれも今夜から始められる、小さな習慣です。
朝の光と、毎日同じ起床時刻でリズムを整える
眠りのリズムは、朝の過ごし方で決まります。
毎朝同じ時刻に起きて、カーテンを開けて朝の光を浴びると、体内時計がリセットされて、夜に自然と眠くなりやすくなります。
寝る時刻をそろえるより、起きる時刻をそろえるほうが、リズムは整いやすくなります。
寝る前の1時間を「ゆるめる時間」にする
寝る直前までスマートフォンを見たり、仕事のことを考えたりしていると、頭がさえて寝つきが悪くなります。
寝る前の1時間は、照明を少し落として、ぬるめのお風呂やストレッチ、静かな音楽などで、心と体をゆるめる時間にしてみてください。
呼吸に意識を向ける短い瞑想も、気持ちを落ち着けるのに役立ちます。
瞑想のやり方は、瞑想とは何か?初心者でも3分でわかる意味・やり方・効果を完全解説で詳しく紹介しています。
カフェイン・寝酒・長い昼寝を見直す
ガイドでは、夕方以降のカフェインを控えることと、寝酒を避けることがすすめられています。
お酒は寝つきをよくするように感じても、夜中に目が覚めやすくなり、眠りを浅くしてしまいます。
昼寝をするなら、午後の早い時間に短めにとどめましょう。
ガイドで紹介されている研究では、30分以上の昼寝を習慣にしている高齢者は、将来の死亡リスクが高くなると報告されています。
眠れない日が続くときは無理をしない
眠れないまま寝床で長く過ごすと、「寝床=眠れない場所」と体が覚えてしまいます。
なかなか寝つけないときは、いったん寝床を出て、薄暗い部屋で静かに過ごし、眠気が来てから戻るようにしてみてください。
ただし、大きないびきや呼吸が止まると言われる、眠れない日が何週間も続く、といった場合は、睡眠の病気が隠れていることもあります。
ひとりで抱えこまず、早めに医療機関に相談しましょう。
よくある質問
Q. 睡眠時間が6時間でも、毎朝すっきりしていれば問題ありませんか?
A. 朝の目覚めがよく、日中に強い眠気がなければ、その人にとって足りている可能性があります。
ただし、休日に長く寝てしまう場合は、平日の睡眠が足りていないサインかもしれません。
まずは2週間ほど、睡眠の記録をつけて確かめてみてください。
Q. 年齢とともに朝早く目が覚めるようになったのは、問題ですか?
A. 年齢を重ねると体内時計のリズムが前にずれて、早寝早起きになりやすくなります。
日中に元気に過ごせているなら、多くの場合は自然な変化です。
早く目が覚めてしまうからといって早くから寝床に入ると、夜中に目覚めやすくなるので、寝床にいる時間を8時間未満にすることを意識してみてください。
Q. 寝だめで平日の睡眠不足を取り戻せますか?
A. 休日に長く眠ると一時的には楽になりますが、体内時計がずれて、週明けの不調につながりやすくなります。
休日の起床時刻は平日と大きく変えず、足りない分は平日の夜に少しずつ早く寝て補うのがおすすめです。
Q. 昼寝はしても大丈夫ですか?
A. 午後の早い時間に短めにとる昼寝は、午後の眠気をやわらげるのに役立ちます。
ただし、30分以上の長い昼寝や夕方の昼寝は、夜の眠りを妨げやすくなります。
昼寝は短く、早い時間に済ませましょう。
まとめ:理想の睡眠時間は、年齢の目安と自分の感覚で決める
この記事について、あらためて整理します。
この記事のまとめ:
- 理想の睡眠時間は年齢によって変わり、小学生は9〜12時間、中学生・高校生は8〜10時間、大人は6時間以上が目安
- 夜に実際に眠る時間は、成人後は20年ごとにおよそ30分ずつ短くなるのが自然な変化
- 60代以降は、睡眠時間よりも「寝床にいる時間を8時間未満に」することを意識する
- 日本人の平均睡眠時間は7時間54分だが、40〜50代の女性は4割以上が6時間未満
- 自分に合う長さは、朝の「睡眠休養感」と休日の寝だめの有無で確かめる
- 朝の光、寝る前のゆるめる時間、カフェインと寝酒の見直しで、眠りの質を高められる
睡眠時間は、多ければ多いほどよいものではありません。
年齢の目安を出発点にしながら、自分の体が「よく休めた」と感じる長さを見つけていくことが大切です。
今夜は、寝る前の1時間だけでも、ゆっくりと心と体をゆるめる時間にしてみてください。
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