疲れたら、休めばいい。
そう思って週末は家でじっとしていたのに、月曜の朝になっても体は重いまま、ということがあります。
実は、疲れを取るのに必要なのは「ただ横になること」だけではありません。
眠りの深さ、日中の体の動かし方、心の緊張のほどき方。
いくつかの条件がそろったとき、ようやく疲れは抜けていきます。
この記事では、寝ても疲れが取れない原因と、今すぐできる対処法、仕事中にデスクでできる工夫、毎日の習慣で疲れをためないコツをまとめました。
病院に行ったほうがよい疲れの目安も紹介しているので、「最近ずっと疲れている」という方は、最後まで目を通してみてください。
- 疲れの正体と、体・頭・心の3つの疲れの違いがわかる
- 寝ても疲れが取れない主な原因がわかる
- 疲れが取れないときに今すぐできる対処法がわかる
- 仕事中・デスクでできる疲れをとる方法がわかる
- 疲労回復のための毎日の習慣と、病院に行く目安がわかる
疲れが取れないのはなぜ?疲れの正体を知る
疲れを上手に取るためには、まず「疲れとは何か」を知っておくと役に立ちます。
疲れは、ただのやっかいものではありません。
疲れは「そろそろ休んで」という体からのサイン
長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、日本疲労学会は疲労を「過度の肉体的・精神的活動や疾病によって生じた、独特の不快感と休養の願望を伴う、身体の活動能力の減退状態」と定義しています。
同じページでは、疲労は痛みや発熱と同じように、体に害が及ぶ前に活動を控えるよう知らせるシグナルのひとつだと説明されています。
つまり疲れは、体を守るための大切な警報。
「まだ大丈夫」と警報を無視してがんばり続けるほど、疲れは深く、抜けにくくなっていきます。
体の疲れ・頭の疲れ・心の疲れ
ひとくちに疲れといっても、その中身はひとつではありません。
大きく分けると、次の3つがあります。
- 体の疲れ:立ち仕事や家事、運動などで筋肉や体を使ったあとの疲れ
- 頭の疲れ:パソコン作業や考えごとなど、目や脳を使い続けたあとの疲れ
- 心の疲れ:人間関係や不安、緊張が続くことによる疲れ
体の疲れは、しっかり眠れば比較的回復しやすいものです。
一方で、頭や心の疲れは、横になっていても考えごとが止まらず、なかなか抜けません。
「休んでいるのに疲れが取れない」と感じるときは、頭や心の疲れが積み重なっていることが多いでしょう。
年齢とともに疲れが抜けにくくなることも
若いころは一晩眠れば元気になれたのに、最近は疲れが翌日まで残る。
そんな変化を感じている方も多いはずです。
年齢とともに筋肉量や体力が少しずつ落ちていくうえ、40代以降は更年期によるホルモンバランスの変化が重なる時期でもあります。
ただ、年齢だけが原因とは限りません。
睡眠や日中の過ごし方を見直すことで、疲れの抜け方が変わることもあるのです。
寝ても疲れが取れない主な原因
「たっぷり寝たはずなのに疲れている」というときは、眠りや生活のどこかに原因が隠れているかもしれません。
よくある原因を4つ紹介します。
睡眠の時間や質が足りていない
疲れを回復させるいちばんの方法は、やはり眠ること。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することがすすめられています。
同じガイドで大切にされているのが「睡眠休養感」、つまり朝起きたときに「よく休めた」と感じられるかどうかです。
長く寝床にいても、眠りが浅かったり途中で何度も目が覚めたりすれば、休養感は得られません。
時間と質の両方がそろって、はじめて疲れは抜けていきます。
寝る前の習慣が眠りを浅くしている
寝る直前までのスマホ、夕方以降のコーヒー、眠るためのお酒。
どれも、つい続けてしまいがちな習慣です。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」準拠の睡眠チェックシートでも、寝床でスマホなどの電子機器を使う、夕方以降にカフェイン飲料をよく飲む、寝酒をする、といった習慣が見直しのポイントとして挙げられています。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、カフェインやニコチン、過度の飲酒や寝酒は、寝つきの悪さや夜中に目が覚める原因になり、睡眠休養感を下げると説明されています。
お酒を飲むとすぐ眠くなるものの、眠りの後半が浅くなりやすい点には気をつけたいところです。
体を動かさなさすぎている
意外かもしれませんが、体を動かさなすぎることも、疲れが取れない原因になります。
一日じゅう座りっぱなしで過ごすと、血のめぐりが滞り、体はこわばったまま。
体はあまり疲れていないのに頭だけが疲れている状態になり、夜になってもうまく眠りに入れません。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することが呼びかけられています。
休日に一日じゅう横になっていたら、かえってだるさが増した、という声が多いのもそのためです。
ストレスや緊張で、心と体が休めていない
心配ごとや緊張が続いていると、体は横になっていても、なかなか「休むモード」に切り替わりません。
布団に入ってからも仕事のことや明日の予定が頭をめぐり、眠りが浅くなってしまうこともあります。
こうした疲れは、睡眠時間を増やすだけでは取れにくいもの。
心の緊張をほどく時間を、意識して一日のなかにつくることが大切です。
疲れが取れないときに今すぐできる対処法
疲れを感じたときは、その日のうちにできる小さなケアから始めてみましょう。
どれも、特別な道具は必要ありません。
ゆっくり息を吐いて、体をゆるめる
疲れているときほど、呼吸は浅く速くなりがちです。
まずは椅子に深く座り、肩の力を抜いて、ゆっくり息を吐いてみてください。
鼻から軽く吸ったら、口をすぼめて、吸うときの倍くらいの時間をかけて吐き出します。
これを数回くり返すだけで、肩や首のこわばりが少しずつほどけていくのを感じられるはず。
吐く息に意識を向けることが、体をゆるめるいちばんの近道です。
ぬるめのお湯にゆっくりつかる
シャワーだけで済ませがちな方は、湯船につかる日を増やしてみましょう。
長寿科学振興財団の健康長寿ネットでは、就寝の1〜2時間前に38〜40度のぬるめのお湯に、みぞおちあたりまで8分ほどつかると、睡眠の質が高まるとされています。
熱すぎるお湯や長湯は、かえって体を疲れさせてしまいます。
消費者庁も、入浴中の事故を防ぐために、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にするよう呼びかけています。
とくに寒い季節は、脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておくと安心です。
何もしない時間を、短くつくる
休憩のつもりでスマホの動画やSNSを見ていると、目と頭は休めていません。
これでは、疲れはたまっていく一方です。
5分でかまわないので、画面から離れて目を閉じ、何もしない時間をつくってみてください。
昼間に眠気が強いときは、短い仮眠も助けになります。
ただし、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、長い昼寝は夜の眠りを妨げるため避けるよう示されているので、ほんの少しにとどめておきましょう。
軽く体を動かして、めぐりをよくする
体がだるいと、つい横になりたくなるもの。
ですが、座りっぱなしや寝てばかりで疲れているときは、軽く体を動かしたほうが楽になることもあります。
家のまわりを10分ほど散歩する、ゆっくりストレッチをする、窓を開けて大きく伸びをする。
息が上がらない程度のやさしい動きで十分です。
体を動かして疲れを取ることは、「積極的休養(アクティブレスト)」とも呼ばれています。
仕事中・デスクでできる疲れをとる方法
パソコンの前で過ごす時間が長い方は、仕事中の過ごし方を少し変えるだけでも、夕方の疲れ方が違ってきます。
デスクでできる工夫を紹介します。
30分に一度は、座りっぱなしを中断する
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、長く座り続ける時間を、できるだけこまめに(たとえば30分ごとに)中断することが大切だとしています。
立ち上がって飲み物を取りに行く、電話は立って受ける、印刷物は少し離れたプリンターまで取りに行く。
わざわざ運動の時間をとらなくても、小さな「立つ」をはさむだけでかまいません。
1時間に一度は、画面から目を離す
頭の疲れの多くは、目の疲れから始まります。
厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、1回の連続作業が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の休止時間を設けることが示されています。
休止時間には、窓の外を眺めたり、目を閉じたりして、目を休ませてあげましょう。
目の奥の重さや肩こりが続くときは、眼精疲労とは?症状・治し方と目の疲れを取る方法、ツボまでやさしく解説も参考にしてみてください。
椅子に座ったままできるストレッチ
席を立てないときは、座ったままでできるストレッチで体をほぐしましょう。
- 肩回し:両手を肩にのせ、ひじで大きな円を描くように前後に5回ずつ回す
- 首のストレッチ:右手を頭の左側にそえ、ゆっくり右に倒して10秒。反対側も同じように
- 背伸び:両手を組んで頭の上に伸ばし、息を吐きながら体を左右にゆっくり倒す
どれも、痛みを感じない範囲で、呼吸を止めずに行うのがポイント。
1〜2分でできるので、仕事の区切りごとに取り入れてみてください。
水分補給をかねて、ひと息つく
仕事に集中していると、水分をとるのを忘れがちです。
のどの渇きを感じる前に、こまめに水やお茶を口にする習慣をつけましょう。
コーヒーや緑茶などカフェインの入った飲み物は、午後の遅い時間を過ぎたら控えめにすると、夜の眠りを妨げにくくなります。
飲み物を入れに席を立つことが、そのまま座りっぱなしを中断するきっかけにもなるでしょう。
疲れをためないための毎日の習慣
その場のケアで楽になっても、毎日の生活が同じなら、疲れはまたたまっていきます。
疲れにくい体をつくるために、日々の習慣を見直してみましょう。
自分に合った睡眠時間を確保する
疲労回復の土台は、なんといっても眠りです。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が示す成人の目安は6時間以上ですが、必要な睡眠時間には個人差があります。
年齢ごとの目安や、自分に合う長さの見つけ方は、理想の睡眠時間は何時間?年齢別の目安と、自分に合う長さの見つけ方で詳しく紹介しています。
朝の光を浴びて、生活のリズムを整える
朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。
朝の光は体内時計を整え、夜に自然な眠気が訪れる助けになります。
睡眠チェックシートでも、朝や日中に屋外の明るい光をあまり浴びないことが、見直したい習慣のひとつとされています。
休日も、できるだけ平日と同じ時刻に起きるのが理想です。
寝坊をしたくなる日は、起きる時刻をずらすより、短い仮眠で補うほうが生活のリズムは乱れにくいでしょう。
1日3食を、決まった時間にとる
疲れているときこそ、食事を抜かずに、1日3食をなるべく決まった時間にとることを心がけたいもの。
長寿科学振興財団の健康長寿ネットでも、1日3食のバランスのよい食事と規則正しい生活リズムが、疲労回復の方法として挙げられています。
「これを食べれば疲れが取れる」という特別な食べものに頼るより、主食・主菜・副菜をそろえることが基本です。
夕食は寝る直前を避け、少し早めに済ませると、眠っているあいだに胃腸も休むことができます。
疲れたときにとりたい栄養素や、料理する気力がない日のコンビニでの選び方は、疲労回復によい食べ物・飲み物:疲れたときに食べたいものと、コンビニで選ぶコツでくわしく紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
日中に、無理のない範囲で体を動かす
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人は歩行かそれと同じくらいの強さの身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)行うことがすすめられています。
いきなり目標をめざさなくても、今より10分多く歩くことから始めれば十分です。
日中に適度に体を動かしておくと、夜には体が心地よく疲れ、眠りにつきやすくなります。
「疲れているから動かない」ではなく、「よく眠るために少し動く」と考えてみてください。
病院に行ったほうがいい疲れの目安
疲れの多くは、休養や生活習慣の見直しで楽になっていきます。
ですが、なかには病気が隠れていることもあるため、受診の目安を知っておきましょう。
疲れがどのくらい続いているかを確かめる
MSDマニュアル家庭版の「疲労感」では、疲労感を続いている期間で、1か月未満の「最近の疲労感」、1〜6か月の「長期の疲労感」、6か月以上の「慢性の疲労感」に分けています。
貧血や甲状腺の病気、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、うつ病など、疲れの背景にはさまざまな病気がある可能性も。
休養をとっても疲れが長引いているときや、はっきりした原因が思い当たらないときは、かかりつけ医や内科で一度相談してみてください。
すぐに受診を考えたいサイン
次のような症状をともなう疲れは、早めに医療機関を受診しましょう。
- 意図せず体重が減り続けている
- 微熱や寝汗が続く、首や脇のリンパ節が腫れている
- 筋力が落ちた、筋肉が痛む
- 息切れや、便に血が混じる・黒い便が出るといった症状がある
- 強い気分の落ち込みが続いている
MSDマニュアル家庭版では、高齢の方は、ほかに症状がなくても疲労感があればできるだけ早く受診するよう示されています。
「年のせいだから」と見過ごさずに、相談するきっかけにしてみてください。
半年以上続く強い疲れは「慢性疲労症候群」の可能性も
休んでも回復しない強いだるさが6か月以上続き、日常生活がままならないほどの状態になる病気もあります。
仙台市の「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)について」では、ME/CFSを、強い全身の倦怠感などの症状が休養しても回復せず、少なくとも6か月以上の長期にわたって続く病気として紹介しています。
単なる疲れとは違い、活動したあとに強い疲労感が出る、眠っても疲れが取れない、集中できない、といった症状がみられるのが特徴です。
当てはまるかもしれないと感じたら、ひとりで抱えこまずに医療機関に相談しましょう。
よくある質問
Q. 疲れているのに、なかなか眠れません。どうすればいいですか?
A. 頭や心の疲れが強いときに、よく起こることです。
寝る1〜2時間前にぬるめのお湯につかる、寝床でスマホを見ない、ゆっくり息を吐く呼吸で体をゆるめる、といった工夫を試してみてください。
眠れない状態が長く続くときは、医療機関で相談しましょう。
Q. 休日の寝だめで、疲れは取れますか?
A. 平日の睡眠不足を補うために多少長く眠るのはかまいませんが、昼近くまで寝ていると体内時計が乱れ、かえって月曜日がつらくなることもあります。
起きる時刻はできるだけ平日と大きく変えず、足りない分は早めに寝るか、短い仮眠で補うのがおすすめです。
Q. 疲れているときは、運動しないほうがいいですか?
A. 熱がある、体が痛むといったときは、無理せず休むことが第一です。
一方で、座りっぱなしや運動不足による疲れなら、散歩やストレッチなどの軽い運動で楽になることもあります。
息が上がらない程度の、やさしい動きから始めてみてください。
Q. 栄養ドリンクやサプリメントで疲れは取れますか?
A. 一時的に元気になったように感じることはあっても、疲れの原因そのものがなくなるわけではありません。
カフェインを多く含むものは、夜の眠りを妨げることもあります。
まずは睡眠と食事、日中の過ごし方を見直すことを優先しましょう。
Q. 疲れが取れないときは、何科を受診すればいいですか?
A. まずは、かかりつけ医か内科で相談するのが一般的です。
血液検査などで貧血や甲状腺の病気がないかを調べ、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらえます。
気分の落ち込みや不安が強いときは、心療内科や精神科に相談するのもひとつの方法です。
まとめ:疲れが取れないときは、休み方を見直すことから
この記事について、あらためて整理します。
この記事のまとめ:
- 疲れは「そろそろ休んで」という体からのサインで、体・頭・心の3つの疲れがある
- 寝ても疲れが取れない原因には、睡眠の時間や質の不足、寝る前の習慣、座りっぱなし、ストレスなどがある
- 今すぐできる対処法は、ゆっくり息を吐く、ぬるめのお湯につかる、何もしない時間をつくる、軽く体を動かすこと
- 仕事中は、30分に一度は座りっぱなしを中断し、1時間に一度は画面から目を離す
- 疲れをためないためには、睡眠時間の確保、朝の光、1日3食、日中の適度な活動を習慣にする
- 疲れが長引く、体重減少や微熱などをともなうときは、早めに医療機関に相談する
疲れが取れないのは、がんばりが足りないからではありません。
むしろ、毎日がんばりすぎているからこそ、体が「休んで」と伝えてくれているのです。
今日はまず、ゆっくり息を吐いて、肩の力を抜いてみてください。
その小さなひと息が、疲れをほどいていくはじまりになります。
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