ジャーナリングとは?意味・語源・やり方・日記との違いをやさしく解説

英語の「journal(ジャーナル)」という言葉をさかのぼると、ラテン語で「日」を意味する「dies」にたどり着きます。
その日、その日の自分を書き留める。
ジャーナリングは、そんな素朴な営みから生まれた言葉です。

ただし、ジャーナリングで書くのは、出来事の記録ではありません。
今の気持ちや、頭に浮かんでいることを、ノートにそのまま書き出していきます。
正しい文章にする必要も、誰かに見せる必要もありません。

この記事では、ジャーナリングの意味と語源、日記との違い、研究でわかっている効果、今日から始められるやり方をまとめました。
書くことに困ったときの問いかけや、続けるコツも紹介します。

この記事でわかること
  • ジャーナリングの意味と、「journal」の語源がわかる
  • ジャーナリングと日記・手帳の違いがわかる
  • 「書くこと」について研究でわかっている効果がわかる
  • 今日から始められるジャーナリングのやり方と3つのルールがわかる
  • 書くことに困ったときの問いかけと、続けるコツがわかる
目次

ジャーナリングとは?意味と語源

ジャーナリングという言葉は、ここ数年でよく耳にするようになりました。
まずは、言葉の成り立ちと意味から整理しておきましょう。

ジャーナリングの語源は「日々の」という意味のラテン語

ジャーナリングの語源は、英語の「journal」で、さらにさかのぼるとラテン語の「diurnalis(毎日の)」に行き着きます。
つまりジャーナリングとは、もともと「日々を書き留めること」を意味する言葉です。

英語の語源辞典「Online Etymology Dictionary」によると、「diurnalis」は「日」を意味するラテン語「dies」から生まれた言葉。
それが古フランス語で「一日」「一日分の仕事や旅程」を表す「jornel」となり、英語に入ってきました。
英語ではその後、日々の会計を記す帳簿や個人の日記、日刊の新聞などを指す言葉として、意味を広げていったそうです。

意味:頭と心に浮かんだことを、そのまま書き出す習慣

現在のジャーナリングは、今の気持ちや考え、体の感覚など、自分の内側に浮かんでいることを紙に書き出す習慣を指します。
「今日は朝から少しモヤモヤしている」「本当はあの誘いを断りたかった」。
そんなふうに、整理されていない思いを、評価せずにそのまま言葉にしていくのです。

書く内容に決まりはありません。
うまく書こうとしないこと、思いついた順にそのまま書くことが、ジャーナリングのいちばんのポイントです。

「書く瞑想」と呼ばれる理由

ジャーナリングは、「書く瞑想」と呼ばれることもあります。
瞑想が呼吸に意識を向けて、浮かんでくる考えや感情に気づいていく練習だとすれば、ジャーナリングはそれを紙の上で行うもの。

頭の中だけで考えていると、同じ悩みがぐるぐると回り続けがちです。
文字にして目の前に置くと、自分の考えを少し離れたところから眺められるようになります。
静かに座る瞑想が苦手な方でも、書くことなら取り組みやすいと感じるかもしれません。
瞑想そのものの基本は、瞑想とは何か?初心者でも3分でわかる意味・やり方・効果を完全解説で紹介しています。

ジャーナリングと日記の違い

ジャーナリングは、日記と混同されやすいもの。
どちらもノートに書くことは同じですが、目を向ける先が違います。

日記は「出来事」、ジャーナリングは「自分の内側」

違いを表にまとめると、次のようになります。

日記 ジャーナリング
書く内容 その日の出来事、会った人、したこと 今の気持ち、考え、体の感覚
目的 記録を残す 心を整理する、自分に気づく
書き方 時系列でまとめることが多い 思いついた順に、そのまま書く
文章の整え方 読み返せるように整える 誤字脱字も気にせず、整えない
読み返し あとで読み返して振り返る 読み返さなくてもかまわない

日記は「何があったか」を残すもの、ジャーナリングは「何を感じているか」に気づくものと考えると、わかりやすいでしょう。
もちろん、日記のなかに気持ちを書いてもかまいません。
出来事よりも、そのときの心の動きに重心を置くのがジャーナリングです。

手帳・引き寄せノートとの違い

手帳や引き寄せノートは、目標を立てたり、予定や行動を計画したり、叶えたい願いを書いたりするために使うことが多いもの。
書く先に、はっきりした目的があります。

一方のジャーナリングは、目的を決めずに書くこと自体に意味があります。
「こうなりたい」を書く前に、「今の自分はどう感じているのか」に気づく時間。
手帳や引き寄せノートと組み合わせて、願いを書く前の心の準備として使うのもよい方法です。

モーニングページとの関係

ジャーナリングの方法のひとつとして知られているのが、「モーニングページ」です。
朝起きてすぐ、頭に浮かんだことを、ノート3ページ分ほど手書きで書き出していくやり方で、ジャーナリングの代表的な方法として紹介されることもあります。

ジャーナリングは、モーニングページを含む、もっと広い意味の言葉です。
書く時間や分量に決まりはなく、夜に数行だけ書くのも立派なジャーナリングといえます。

ジャーナリングの効果:研究でわかっていること

「書くこと」が心と体に与える影響は、心理学の分野で長く研究されてきました。
ここでは、その代表的な研究と、期待できる効果を紹介します。

ペネベーカー博士の「筆記開示」の研究

書くことの効果を調べた研究として有名なのが、アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベーカー博士の研究です。
表現的筆記の効果をまとめたレビュー論文(Baikie & Wilhelm, 2005)によると、1986年の研究では、大学生が4日間続けて1日15分、人生でもっともつらかった経験について書きました。

その結果、4か月後には、表面的な話題について書いたグループに比べて、保健センターに行く回数が少なくなる傾向が見られたそうです。
その後の研究でも、気分の落ち込みがやわらぐなど、心や体への良い影響が報告されています。

ただし、同じ論文では、心の面の効果は体の面の効果ほど一貫していないことにもふれられています。
ジャーナリングは何にでも効く方法ではなく、心を整える助けになるもののひとつと考えておくとよいでしょう。

感情が整理され、気持ちが軽くなる

頭の中でモヤモヤしている感情は、形がはっきりしないぶん、実際よりも大きく感じられるもの。
言葉にして書き出すと、「自分はこれが不安だったのか」と、気持ちの正体が見えてきます。

正体がわかった感情は、それだけで少し扱いやすくなります。
書き終えたあとに、胸のつかえがすっと軽くなったように感じる人も多いでしょう。

自分の本音や、くり返すパターンに気づける

ジャーナリングを続けていると、自分が何に喜び、何に疲れやすいのかが少しずつ見えてきます。
「人に頼まれると断れない」「同じ場面でいつもイライラしている」といった、くり返しているパターンに気づくこともあるはずです。

こうした気づきは、自分をより深く知る手がかりになります。
自己理解の深め方については、自己理解とは?自分がわからないときに読む、意味と深め方をやさしく解説で詳しく紹介しています。

ジャーナリングのやり方

ジャーナリングは、思い立ったその日から始められます。
特別な準備はいりません。

必要なものは、ノートとペンだけ

用意するのは、ノートとペンだけで十分です。
高価なノートでなくてもかまいませんが、手に取りたくなるお気に入りの一冊があると、書く時間が楽しみになります。

手書きが基本ですが、スマホやパソコンでもジャーナリングはできます。
手で書くと書くスピードがゆっくりになり、自分の気持ちと向き合いやすいという声も。
まずは手書きで試してみて、続けにくければデジタルに切り替えてみてください。

書き方のルールは3つだけ

ジャーナリングのルールは、次の3つだけです。

  1. 時間を決める:5分、10分など、タイマーをセットしてから書き始める
  2. 手を止めない:何を書こうか迷っても、「何も思いつかない」とそのまま書いて手を動かし続ける
  3. 評価しない:誤字脱字や文章のうまさ、内容の良し悪しを気にしない

とくに大切なのが、3つ目の「評価しない」です。
「こんなことを思うなんて」と自分を責めず、浮かんだ言葉をそのまま受け止めてあげましょう。

朝と夜、どちらに書く?

ジャーナリングは、朝でも夜でも効果が期待できます。
朝に書くと、頭の中にあるものを書き出してすっきりした状態で一日を始められます。
夜に書くと、その日に感じたことを手放してから眠りにつけるでしょう。

どちらが正しいということはありません。
続けやすい時間帯を選んで、まずは同じ時間に書くことを習慣にしてみてください。

書くことに困ったときの問いかけ

ノートを開いたものの、何を書けばいいのかわからない。
そんなときは、問いかけ(プロンプト)をひとつ選んで、その答えを書くところから始めてみましょう。

気持ちを整理したいときの問いかけ

  • 今、いちばん気になっていることは何?
  • 今日、心が動いた瞬間はいつだった?
  • 今の気持ちに名前をつけるとしたら?
  • 体のどこかに、こわばっているところはある?
  • 今、手放したいことは何?

答えはひと言でもかまいません。
書いているうちに、思いがけない言葉が出てくることもあります。

自分を知りたいときの問いかけ

  • 時間を忘れて夢中になれるのは、どんなとき?
  • 本当はやめたいのに、続けていることは?
  • 1年後、どんな気持ちで毎日を過ごしていたい?
  • 最近、うらやましいと感じた人は誰? その人の何がうらやましかった?

自分の本音は、意外な問いかけから見えてくるもの。
問いかけの例文や書き方を、もっと知りたい方はジャーナリングの書き方と例文「何を書けばいい?」に答える実践ガイドを参考にしてみてください。

気持ちが落ちこんでいる日の書き方

つらい気持ちの日は、無理に前向きなことを書こうとしなくて大丈夫です。
「悲しい」「疲れた」と、今の気持ちをそのまま書き出すことから始めましょう。

書き終えたら、最後に一行だけ「それでも今日できたこと」や「少しほっとしたこと」を書き足してみてください。
小さなことでかまいません。
その一行が、気持ちをそっと切り替えるきっかけになります。

ジャーナリングを続けるコツと注意点

ジャーナリングは、続けるほど自分への気づきが深まっていきます。
無理なく続けるためのコツと、知っておきたい注意点を紹介します。

「毎日書かなければ」をやめる

ジャーナリングが続かない理由でいちばん多いのが、「毎日書かなければ」と思いこんでしまうことです。
書けない日があっても、まったく問題はありません。

週に2〜3回でも、モヤモヤしたときだけでもかまいません。
「書きたいときに、いつでも戻ってこられる場所」くらいに考えておくと、気持ちが楽になるでしょう。

書いたものは、見返さなくてもいい

ジャーナリングは、書くこと自体に意味があります。
書いたものを読み返さなければいけない、ということはありません。

人に見られるのが心配な方は、書いたページを破って捨ててもかまいません。
誰にも見られないと思えるほうが、本音を書きやすくなります。
反対に、しばらくたってから読み返すと、自分の変化に気づけて励みになることもあります。

つらくなったら、無理せず手を止める

つらい経験について書くと、書いた直後に、一時的に気持ちが沈むことがあります。
Baikie & Wilhelmのレビュー論文でも、書いた直後に気分が落ち込むことがあると紹介されており、いつでも書くのをやめてよいこと、1回あたり20分程度までにとどめることが示されています。

苦しくなったら、そこでペンを置いて、深呼吸をしたり、温かい飲み物を飲んだりしてください。
気持ちの落ち込みが長く続くときは、ひとりで抱えこまずに、医療機関や専門の相談窓口を頼ることも大切です。

よくある質問

Q. ジャーナリングは手書きでないとだめですか?
A. 手書きでなくてもかまいません。
スマホのメモやパソコンでも、ジャーナリングはできます。
手書きは書くスピードがゆっくりになるぶん、自分の気持ちと向き合いやすいので、迷ったら手書きから試してみてください。

Q. 毎日書かないと効果はありませんか?
A. 毎日でなくても大丈夫です。
大切なのは回数より、書きたいときに書ける習慣を持つこと。
週に数回でも、モヤモヤしたときだけでも、気持ちを整理する助けになります。

Q. 書いたものを誰かに見られるのが心配です。
A. 書いたページは、破って捨ててもかまいません。
ジャーナリングは見返すことが目的ではないので、書き終えたら処分するという方法もあります。
誰にも見られないと思えるほうが、本音を書きやすくなるはずです。

Q. ジャーナリングとモーニングページは同じですか?
A. モーニングページは、ジャーナリングの方法のひとつです。
朝起きてすぐ、ノート3ページほどを手書きで書き出すのがモーニングページで、ジャーナリングはそれを含む、もっと広い意味の言葉です。

Q. 1回にどのくらい書けばいいですか?
A. 5〜10分ほどから始めるのがおすすめです。
分量に決まりはないので、数行で終わる日があってもかまいません。
慣れてきたら、15〜20分ほどまで少しずつのばしてみてください。

まとめ:ジャーナリングは「うまく書く」より「そのまま書く」

この記事について、あらためて整理します。

この記事のまとめ:

  • ジャーナリングの語源は英語の「journal」で、さかのぼるとラテン語の「diurnalis(毎日の)」に行き着く
  • ジャーナリングとは、今の気持ちや考えなど、自分の内側に浮かんだことをそのまま書き出す習慣のこと
  • 日記は「出来事」を記録するもの、ジャーナリングは「自分の内側」に気づくもの
  • ペネベーカー博士の研究などで、書くことが心と体に良い影響を与える可能性が報告されている
  • やり方のルールは、時間を決める・手を止めない・評価しないの3つだけ
  • 毎日書かなくてもよく、つらくなったら無理せず手を止めてかまわない

ジャーナリングに、うまい・へたはありません。
大切なのは、浮かんだ言葉をそのまま受け止めてあげることです。

今夜、ノートを開いて、「今、どんな気持ち?」と自分に聞いてみてください。
その答えを書いた一行が、ジャーナリングのはじまりになります。

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