ジャーナリングの書き方と例文「何を書けばいい?」に答える実践ガイド

ノートを開いて、ペンを持って、それで止まってしまった。

「ジャーナリングを始めよう」と決意した最初の夜、そういう経験をした方は少なくないはずです。
「今日あったこと」を書こうとしたら、何から書けばいいかわからなくなって。
「気持ちを書こう」と思ったら、その気持ちをどう言葉にすればいいかわからなくて。
気づいたら5分経っていて、白いままのページだけが残っている。

これは、書く力がないのではありません。
書き方を知らないだけです。
そしてジャーナリングには、そもそも「正しい書き方」が存在しません。

この記事では、書けなくて当然のところから始まって、今日すぐにペンを動かせるようになるための書き方とお題をお伝えします。
例文も豊富に用意しました。読み終わったら、ノートを開いてみてください。

この記事でわかること
  • ジャーナリングの書き方の基本と「正解がない」理由がわかる
  • ゼロから始めるための具体的なステップがわかる
  • 感情の整理・自己理解・ルーティンそれぞれの例文がわかる
  • 書き方に迷ったときに使えるお題30選がわかる
  • 続かない人のための、ハードルを下げる具体的なヒントがわかる
目次

ジャーナリングの書き方:まず「正解はない」と知っておく

ジャーナリングを始めようとして最初にぶつかる壁は、「何をどう書けばいいかわからない」という感覚です。
でも実は、その壁はジャーナリングの本質を知ると一瞬で消えます。
ジャーナリングとは、頭に浮かんだことをありのままに書き出す行為であり、そこに正解も不正解もないからです。

ジャーナリングの基本についてはジャーナリングとは?意味・やり方・日記との違いを体験談とともに解説で詳しく解説しています。
ここでは「書き方」に特化して、さらに踏み込んでいきます。

日記との違いと、書き方の自由さ

日記は「今日の出来事を記録する」ものです。
整理された文章で、一日の流れを振り返って書きます。
どこかで「ちゃんと書かなければ」という意識が働きやすい。

ジャーナリングはそれとは違います。
出来事を記録する必要はありません。
文章として完成している必要もありません。
誤字や脱字があっても、途中で話が変わっても、全部OK。

1980年代にテキサス大学の社会心理学者ジェームズ・W・ペネベーカー博士が提唱した「エクスプレッシブ・ライティング(表現的書字)」が、ジャーナリングの根底にある手法です。
ネガティブな感情も含めて自由に書き出すことで、感情を客観視し、ストレスを軽減させる効果があるとされています。
アメリカ心理学会(APA)もジャーナリングの心理的効果について情報を発信しており、メンタルヘルスケアの文脈で広く認知されています。

日記は「記録」、ジャーナリングは「対話」です。
相手は、自分自身です。

手書きとデジタル、どちらでもいい理由

「ジャーナリングはノートと紙でやるべき?」という疑問を持つ方もいます。
結論から言うと、どちらでも構いません。

手書きの場合、ペンを走らせる速度が思考のテンポとちょうどよく合い、じっくり自分と向き合う感覚を得やすいという声があります。
感情が大きく揺れているときは、紙に書き殴る行為そのものが気持ちの発散になることもあります。

デジタル(スマホのメモ帳・ジャーナリングアプリなど)の場合は、書く速度が速く、場所を選ばず、スペースの制限がないというメリットがあります。
通勤電車の中やカフェでも、さっと書き始めることができます。

大切なのは、道具に縛られないことです。
最初は家にあるノートや、スマホのメモ帳から始めてみてください。
「いいノートを買ってから始めよう」と思っていると、始められないまま時間が経ちます。

書けなくて当然―ジャーナリング初心者あるある

ジャーナリングを始めて最初に直面するのは、「書くことがない」という感覚です。
でもこれは、何も書けないのではなく、「何を書いてもいい」という自由さに慣れていないだけです。

「正しいことを書かなければ」「他人に見せるものだから」という無意識の縛りが、ペンを止めます。
ジャーナリングは誰かに見せるためのものではありません。
字が汚くてもいいし、話が脈絡なくていいし、ネガティブなことばかり書いても構いません。

「書くことがない」と感じたら、その感覚をそのまま書くだけでもOKです。
「今日は何も思い浮かばない。なんか頭が重い気がする」と書くことも、立派なジャーナリングです。
ペンを持って紙の前に座った、それだけで十分なスタートです。

ゼロから始めるジャーナリングの書き方ステップ

書き方の自由さはわかった。でも、だからこそ「どこから手をつければ?」と思う方もいるでしょう。
ここでは初めての方でも動けるように、4つのステップに整理しました。
それぞれのステップは、あくまでも「やりやすくなるためのヒント」です。自分に合わないと感じたら、変えてもいいのです。

ステップ1:ノートと時間を用意する

最低限必要なものは、書く場所(ノートやメモ帳)と書くもの(ペン・スマホ)だけです。
特別な道具は必要ありません。

時間については、最初は5分でも十分です。
「今日は5分書いてみよう」と決めるだけで、ぐっと動きやすくなります。
慣れてきたら10分、15分と自然に伸びていきます。

場所は、一人になれる静かな空間が書きやすいですが、カフェや電車の中でも習慣化している方はたくさんいます。
大切なのは「ここに座ったら書く」という自分なりのリズムをつくることです。

すでに毎日続いている習慣(朝のコーヒー、寝る前のルーティンなど)にくっつけると、習慣化しやすくなります。

ステップ2:テーマを「決める」か「決めない」かを選ぶ

ジャーナリングには2つのスタイルがあります。

一つは、テーマを決めずにとにかく今頭に浮かんでいることを書く「フリーライティング」。
もう一つは、「今日一番気になったこと」「今感じているモヤモヤの正体」といったテーマを先に決めてから書くスタイルです。

初心者の方や、何を書けばいいかわからなくなりやすい方は、最初のうちはテーマを決める方が書きやすいです。
テーマがあると「それについて思うこと」を書けばいいだけなので、白紙の恐怖が薄れます。

一方、慣れてきたらテーマなしのフリーライティングも試してみてください。
思いもよらないことが出てきて、自分でも驚く発見があることがあります。

ステップ3:制限時間を決めて、とにかく書く

書き始めたら、決めた時間が来るまで手を止めないことが大切です。
完璧な文章を書こうとしなくていいです。
「えーと」「なんか」「わからない」が連続してもかまいません。

「書くことがなくなった」と感じても、「書くことがなくなった」と書き続けるのがジャーナリングの流儀です。
書いている間は、評価や判断をせず、ただ流し続けてください。

「こんなことを書いたら変だ」「こんな感情を持つのはいけない」という内なる声は、一旦脇に置きます。
ジャーナリングでは、ネガティブも不安も怒りも、全部そのまま書いていい。
むしろ、そういう感情を書くことで、感情の輪郭がはっきりして楽になることが多いのです。

ステップ4:書いたものをどう扱うか

書き終わったら、軽く読み返してみてください。
自分が書いた文字を「他人が書いたもの」を読むような感覚で眺めると、新しい気づきが生まれることがあります。
「あ、自分はこんなことを気にしていたのか」という発見です。

読み返したあと、何か気になった言葉や感情があれば、色違いのペンで印をつけたり、別のページに書き出したりするのも良い方法です。

書いたものを保管するかどうかは自由です。
過去のジャーナルを読み返すことで成長を感じる方もいれば、書くことで気持ちをほぐしたらあとは処分してしまう方もいます。
「捨てるためにビリビリ破く」というひと手間が気持ちの切り替えになる、という声もあります。

ジャーナリングの具体的な例文とテンプレート

「なんとなくわかった気がするけど、実際にはどんなことを書けばいいの?」
ここからは、場面別の例文を紹介します。
完璧な文章ではなく、あえてリアルで雑多な流れのまま書いています。
「こんな感じでいいんだ」と感じてもらうことが目的です。

感情をほぐす書き方の例(モヤモヤしているとき)

職場でのことや人間関係でモヤモヤしているとき、何が引っかかっているのかわからないとき。
頭の中でぐるぐるしているものを、そのままのスピードで書き出してみます。

今日は朝から何となくだるい気がした。理由はよくわからない。昨日、○○さんに言われたひと言がまだ頭に残ってる気がする。別に大したことじゃないかもしれないけど、なんかチクっとした。なぜチクっとしたんだろう。認めてほしかったのかな。それとも、単純に疲れてるだけ?今週ずっと早起きしてたし。ともかく、なんかすっきりしない。でも書いてたら少し楽になってきた気がする。

これで十分です。
書いた最後の「少し楽になってきた気がする」という言葉は、書くことで浮かんできたもの。
そこに気づくことが、ジャーナリングの働きです。

自己理解を深める書き方の例(自分を知りたいとき)

「自分がどういう人間かわからなくなった」「本当はどうしたいのかよくわからない」。
そういうときは、自分への質問を一つ立てて、それに答えるように書いてみます。

「私が本当に大切にしていることは何か?」

んー、難しい。すぐには出てこない。でも考えてみると、人に気を遣いすぎて疲れることが最近多い。ということは、もしかして「自分の時間」を大切にしたいのかもしれない。一人でいる時間がないと、なんかしぼんでいく感じがある。それと、正直でいたい。無理して「大丈夫です」と言うのがしんどい。正直に「今日はちょっと疲れています」と言えるような関係でいたい。

こうして書き進めると、自分でも意識していなかった価値観が言葉として現れてきます。
自己理解ワークシートの使い方:自分を深掘りする質問集と書き方のコツを丁寧に解説と組み合わせると、さらに自己理解が深まります。

朝・夜のルーティン型ジャーナリングの例

毎日決まったタイミングに書くルーティン型は、習慣化しやすいスタイルです。
長く書く必要はなく、3〜5分程度で完結させるのがポイントです。

朝型(起き抜けに書く)の例:

今日の日付。起きたとき、体が少し重かった。でも今日の夜に楽しみにしていることがある。それだけで何となく動ける気がする。今日は午後の会議が気になっている。うまく話せるかな。まあ、なるようになる。今日は「焦らない」を意識してみようと思う。

夜型(眠る前に書く)の例:

今日の終わりに。疲れた、正直に言うと。でもランチの時間が思いのほか楽しかった。ちょっとした雑談だったけど、笑える時間があった。一日のうちに、小さくても「良かった」と思えることがあると、眠れる気がする。明日はもう少しゆっくり朝を過ごしたい。

どちらもわずか数行です。
それでもジャーナリングとして成立しています。

書き方に迷ったときの「お題」30選

「今日は特に書くことがない」「何から書けばいいかわからない」。
そういうときのために、すぐに使えるお題を30個まとめました。
どれか一つを選んで、その質問への答えを書き始めるだけで十分です。

感情・感覚から入るお題

今の自分の気持ちを天気で表すとしたら、どんな天気か。
最近、ふっと気が緩む瞬間はどんな時か。
今週、小さくてもうれしかったことは何か。
今、体のどこかに緊張や疲れを感じているとしたら、それはどこか。
最近どんなことにイライラしているか。その背景にあるのは何だろうか。
「なんとなくしんどい」と感じているとしたら、何がしんどいのか。
自分が「ほっとする」のはどんな場所、どんな時間か。
最近、誰かに言えなかった気持ちがあるとしたら、何か。
今この瞬間、心の中にある言葉を3つ書くとしたら何か。
「今日は頑張った」と思えることを、一つだけ探すとしたら何か。

自分の価値観を掘り下げるお題

自分が一番大切にしていることを一言で言うと何か。
「こんな自分は嫌だ」と感じる場面はどんなときか。
理想の一日を朝から夜まで想像して書くとしたらどんな一日か。
誰かに「ありがとう」と言われてうれしかった経験はどんなものか。
「本当はこうしたかった」と思っていることが今あるとしたら、何か。
自分の「得意なこと」と「苦手なこと」を正直に書くとしたら何か。
誰のことも気にせず決めていいとしたら、今何をしたいか。
人生でもっと増やしたい体験と、減らしたい体験はそれぞれ何か。
「自分らしい」と感じる瞬間はどんな時か。
もし「理想の自分」に会えたとしたら、何を聞きたいか。

今日・過去・未来に向けたお題

今日一日で、一番気になったことは何か。
最近、ふと昔のことを思い出すことがあったとしたら、それはどんな記憶か。
10年後の自分に一言メッセージを書くとしたら、何を伝えるか。
子どもの頃に好きだったことで、今も続いているものはあるか。
最近「もっとこうすればよかった」と思ったことはあるか。
来週、楽しみにしていることを一つ書くとしたら何か。
「今の自分の生活に足りないもの」を書くとしたら何か。
最近、心が動いた(感動した、泣いた、笑った)出来事は何か。
もし明日から1週間、何も予定がないとしたら何をしたいか。
「今の自分に、お疲れ様と言う」として、どんな言葉をかけるか。

ジャーナリングが続かない人への書き方のヒント

始めてみたけれど、3日でやめてしまった。
また開いたけれど、また続かなかった。
そういう経験を重ねると、「自分には向いていないのかも」と感じてしまいます。

でも、続かないのはジャーナリングが向いていないのではなく、「続けなければならない」という設定がきつすぎるだけかもしれません。

「きちんと書こう」をやめる

続かない最大の理由は、「ちゃんと書かなければ」という意識です。
きれいな文章で、意味のある内容を、毎日書かなければならない―そのハードルが高すぎると、書く前から疲れてしまいます。

ジャーナリングに「きちんと」は必要ありません。
読み返したとき、自分でも何を書いたかわからないくらいのメモで十分です。
「書く練習」ではなく、「自分との対話の時間」です。
対話に正式なフォーマットはありません。

書く前に深呼吸を一度だけして、「今日も雑でいい」と自分に許可を出してから始めてみてください。

1行でも、走り書きでも続いていることになる

「1行しか書けなかった」は、「1行書けた」です。
「3行しか書けなかった」は、「3行書けた」です。

1行の走り書きを週に3回続けるだけで、3ヶ月後には100回を超えます。
量より、手を動かした事実の積み重ねが大切です。

「今日は眠い」の一行でも十分です。
「何も思いつかない」という一文でもOKです。
そのわずかな一行を積み重ねていくうちに、少しずつ言語化の筋肉がついていきます。

ある実践者は「1行だけでも書くことをやめずに続けていると、不思議と問いを立てるのが上手になっていった」と語っています。
量を書こうとするより、書く習慣そのものを育てることが先です。

書けなかった日の扱い方と気持ちの切り替え

書けなかった日があっても、ジャーナリングはリセットされません。
そこで終わりにする必要もありません。

「また三日坊主になった」と自分を責める気持ちが、再開のハードルになっています。
書けなかった日があっても、次の日から再び書き始めればいい。
それだけです。

書けなかった翌日に、「昨日は書けなかった。なぜかというと〜」と書くのも立派なジャーナリングです。
「書けない」という自分の状態を観察する、という視点に切り替えると、書けなかった日も素材になります。

「週に3回できたらOK」くらいのゆるさで設定しておくと、続けやすいという声があります。
完璧な習慣より、やめない習慣のほうが、長い目で見たときにずっと大切です。

よくある質問

Q. ジャーナリングは毎日やらないといけませんか?
A. 毎日でなくても大丈夫です。
週に2〜3回でも、気が向いたときだけでも、効果を感じている方はたくさんいます。
「毎日やらなければ」というプレッシャーがかえって続かない原因になることもあります。
まずは無理のない頻度から始めて、習慣として体に馴染ませていくことが大切です。

Q. 手書きとデジタル、どちらが効果的ですか?
A. どちらが優れているということはなく、自分がストレスなく続けられる方法を選ぶのが一番です。
手書きは思考のスピードと書くスピードが合いやすく、じっくり内省したい方に向いています。
デジタルは場所を選ばず手軽に始められるため、隙間時間に書きたい方に向いています。
両方試してみて、自分に合う方法を見つけてください。

Q. ジャーナリングを書いた後、どうすればいいですか?
A. 書き終わったら、一度軽く読み返してみることをおすすめします。
読み返すことで、書いているときには気づかなかった自分の本音や傾向が見えてくることがあります。
読み返した後、保管するか処分するかは自由です。
人に見せるものではないので、ビリビリに破って捨ててもOKです。

Q. ジャーナリングで書く内容は、ネガティブなことばかりでも大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。
ネガティブな感情を紙に書き出すことで、その感情が頭の中だけで増幅されるのを防ぐ効果があります。
ただし、同じ不安や怒りを繰り返し書き続けて気持ちが沈む一方になるようなら、書き終わりに「それでも今日、小さくよかったことは?」という問いを一つ加えてみてください。
気持ちが極端に落ちている場合は、無理にジャーナリングを続けず、休むことも大切です。

Q. 何分くらい書けばいいですか?
A. 一般的には5〜20分程度が書きやすい時間とされていますが、明確な決まりはありません。
初めての方は3〜5分の短い時間から始めてみてください。
書き始めると手が止まらないこともありますし、5分で満足することもあります。
時間より「制限時間内は手を止めない」というルールの方が大切です。

まとめ:書き方より「書き始めること」が大切

この記事について、あらためて整理します。

この記事のまとめ:

  • ジャーナリングに「正しい書き方」はなく、頭に浮かんだことをそのまま書けばいい
  • 日記と違い、整った文章・記録は不要。「自分との対話」という感覚で書く
  • ステップは「時間と場所を用意→テーマを決めるか決めないか選ぶ→制限時間内に書く→軽く読み返す」の4つ
  • 例文を参考にすると「こんな感じでいいんだ」と心理的ハードルが下がる
  • 続かない最大の原因は「きちんと書かなければ」という思い込み。1行でも書けた日は前進

書き方を知っても、始めなければ何も変わりません。
でも今日、1行でも書いてみると、昨日とは少し違う自分に会えます。
ノートを開いて、日付を書いて、今この瞬間に頭に浮かんでいることをそのまま書いてみてください。
それがジャーナリングの最初の一歩です。

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