疲れているときほど、甘いお菓子やエナジードリンクに手がのびてしまうものです。
すぐに元気が出る気がして、つい頼りたくなる。
けれど、体の疲れを支えているのは、そうした一時的な刺激よりも、毎日の食事の積み重ねです。
とはいえ、疲れているときに手のこんだ料理をするのは大変なこと。
大切なのは、完璧な食事を目指すことではなく、「何を足せば体が助かるか」を知っておくことです。
この記事では、疲れたときの食事で大切にしたいこと、疲労回復を助ける栄養素と食べ物、おすすめの飲み物、料理する気力がないときのコンビニでの選び方、控えたい食べ方までをやさしく解説します。
- 疲れたときの食事で、まず大切にしたいことがわかる
- ビタミンB1・たんぱく質・鉄など、疲労回復を助ける栄養素と食べ物がわかる
- 疲れたときにおすすめの飲み物と、コーヒーやエナジードリンクとのつき合い方がわかる
- 料理する気力がないときの、コンビニや常備品での選び方がわかる
- 疲れているときに控えたい食べ方と、病院に行く目安がわかる
疲れたときの食事で大切にしたいこと
特別な食材を探す前に、まず押さえておきたい基本があります。
疲れているときこそ、食事の土台を整えることが、回復への近道です。
食事を抜かず、かたよらないこと
疲れているときは、食欲がなかったり、面倒で食事を抜いてしまったりしがちです。
けれど、体を動かすエネルギーも、体を修復する材料も、食事からしかとれません。
農林水産省の「食事バランスガイド」では、食事を主食・副菜・主菜・牛乳乳製品・果物の5つの区分に分けて、何をどれだけ食べればよいかを示しています。
ごはんやパンなどの主食、野菜やきのこの副菜、肉や魚、卵、大豆製品などの主菜。
まずはこの3つがそろっているかを意識するだけでも、食事のかたよりは減っていきます。
エネルギー源と、それを使う栄養素をいっしょに
ごはんやパン、めん類に多い糖質は、体と脳のエネルギー源です。
ただし、糖質をエネルギーに変えるには、ビタミンB1などの栄養素の助けが必要になります。
日本ビタミン学会のビタミンの解説資料では、ビタミンB1が糖の代謝に関わる酵素を助ける働きをしていることが説明されています。
ビタミンB1が不足すると、全身のだるさなどの症状が出ることも紹介されています。
主食だけ、甘いものだけで済ませず、おかずといっしょに食べることが大切だと言えるでしょう。
「これを食べれば疲れがとれる」食べ物はない
「疲労回復に効く食べ物」と聞くと、何かひとつの食材を食べればよいように感じるかもしれません。
けれど実際には、ひとつの食べ物で疲れがすっきりとれる、ということはありません。
この記事で紹介する食べ物は、あくまで「体の回復を助ける材料」です。
毎日の食事の中で、少しずつ取り入れていくことで、疲れにくい体を支えていくものだと考えてください。
疲労回復を助ける栄養素と食べ物
ここからは、疲れたときに意識してとりたい栄養素と、それを多く含む食べ物を紹介します。
どれも、スーパーやコンビニで手に入りやすいものばかりです。
ビタミンB1:豚肉・大豆・玄米など
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるのを助ける栄養素です。
日本ビタミン学会の資料によると、ビタミンB1は豚肉や鶏レバー、うなぎ、大豆、落花生、玄米、そば粉などに多く含まれ、なかでも豚肉はビタミンB1を多く含む食品とされています。
豚のしょうが焼き、豚汁、豚しゃぶサラダなど、豚肉の料理は手軽に取り入れやすいもの。
ごはんを白米から玄米や雑穀ごはんに変えてみるのもひとつの方法です。
たんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品
たんぱく質は、筋肉や血液、肌など、体のあらゆる部分をつくる材料です。
疲れているときに不足すると、体の修復が追いつかなくなってしまいます。
肉や魚、卵、豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やヨーグルトに多く含まれています。
朝食がパンとコーヒーだけ、という人は、ゆで卵やヨーグルトを一品足すところから始めてみてください。
鉄:赤身の肉・魚、青菜、豆類
鉄が足りなくなると、体のすみずみまで酸素を運ぶ力が弱まります。
厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」では、鉄が不足して起こる貧血の症状として、倦怠感や疲労感、だるさ、頭痛、気力の低下などが挙げられています。
同じサイトでは、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や豆、穀物、海藻などに含まれる「非ヘム鉄」があることも紹介されています。
また、血液中のヘモグロビンは鉄だけでなくたんぱく質からもつくられるため、鉄とたんぱく質をあわせてとることがすすめられています。
赤身の肉や魚、ほうれん草や小松菜などの青菜、大豆製品を、日々の食事に取り入れてみましょう。
野菜・果物:ビタミンやミネラルの補給に
野菜や果物には、体の調子を整えるビタミンやミネラル、食物繊維が含まれています。
食事バランスガイドでも、野菜を中心とした副菜と果物は、それぞれ独立した区分になっています。
疲れていると、野菜をとるのはつい後回しになりがち。
カット野菜や冷凍野菜、野菜たっぷりのスープなど、手間をかけずにとれる方法を用意しておくと安心です。
疲れたときにおすすめの飲み物
食べ物だけでなく、飲み物の選び方も、体の調子に関わっています。
疲れたときに何を飲むかも、意識してみましょう。
まずは水やお茶で、こまめに水分をとる
体の水分が足りなくなると、だるさや集中力の低下につながることがあります。
環境省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、多くの人は水分が不足気味で、コップの水をあと2杯飲めば一日に必要な水の量をおおむね確保できるとされています。
同じページでは、寝る前と起きたとき、入浴の前後などに水を飲むこと、のどが渇く前に水分をとることがすすめられています。
食事バランスガイドでも、水やお茶は食事に欠かせないものとして、コマの軸に表されています。
デスクに水やお茶を置いて、少しずつ飲む習慣をつけてみてください。
温かい汁物やスープで、体をほっとさせる
疲れて食欲がないときは、温かい汁物やスープがおすすめです。
水分と一緒に、具材から野菜やたんぱく質もとれます。
豚肉と根菜がたっぷり入った豚汁は、ビタミンB1と野菜を一度にとれる心強い一品。
具だくさんのみそ汁や、卵を落としたスープなども、手軽に栄養を足せます。
温かいものを口にすると、体も気持ちもほっとゆるむでしょう。
コーヒーやエナジードリンクとのつき合い方
疲れたときに、コーヒーやエナジードリンクで乗り切る人も多いかもしれません。
カフェインには眠気を一時的にまぎらわせる働きがありますが、疲れそのものをとってくれるわけではありません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、コーヒーやコーラ類、エナジードリンクなどのカフェイン飲料はできるだけ減らすこと、夕方以降は睡眠のさまたげになるので控えることがすすめられています。
夜の眠りが浅くなると、翌日の疲れにつながってしまうもの。
カフェインは午前中を中心に、量を決めて楽しむくらいがちょうどよいでしょう。
疲れて料理する気力がないときの選び方
疲れているときに、毎食きちんと料理をするのは現実的ではありません。
コンビニや常備品を上手に使って、手軽に栄養を足しましょう。
コンビニで選ぶなら「主食+たんぱく質+野菜」
コンビニで食事を選ぶときは、主食・たんぱく質・野菜の3つがそろうように組み合わせるのがコツです。
たとえば、次のような組み合わせが考えられます。
- おにぎり + ゆで卵 + 野菜スープ
- 豚しゃぶサラダ + おにぎり + ヨーグルト
- 具だくさんの豚汁 + おにぎり + カット果物
- サンドイッチ + サラダチキン + 野菜ジュース
菓子パンやカップめんだけで済ませるより、一品足すだけで、栄養のバランスはぐっとよくなります。
冷凍・常備で助けになるもの
疲れた日のために、手間をかけずに食べられるものを家に置いておくと安心です。
- 冷凍ごはん、冷凍うどん
- 冷凍野菜、カット野菜
- 卵、納豆、豆腐
- サバ缶やツナ缶などの魚の缶詰
- インスタントのみそ汁やスープ
- バナナやヨーグルト
冷凍うどんに冷凍野菜と卵を加えて煮るだけでも、主食・野菜・たんぱく質がそろった一品になります。
納豆ごはんにインスタントのみそ汁を添えるのも、手軽で心強い組み合わせです。
一品で栄養をとれる料理を覚えておく
少しだけ料理する余力がある日は、一品で栄養がとれる料理を作っておくと便利です。
豚汁や具だくさんのスープ、鍋料理は、肉と野菜を一度にとれて、温め直すだけで翌日も食べられます。
週末にまとめて作っておけば、平日の疲れた夜の助けになるはず。
料理をがんばりすぎず、「楽に続けられる形」を見つけることが大切です。
疲れているときに控えたい食べ方
疲れているときは、つい体に負担のかかる食べ方をしてしまいがちです。
気づいたときに少し見直すだけで、体はずっと楽になります。
甘いものだけで食事を済ませる
疲れると、甘いものが無性に食べたくなることがあります。
少量を楽しむのはかまいませんが、お菓子や菓子パンだけで食事を済ませてしまうと、体の回復に必要な栄養が足りなくなります。
食事バランスガイドでは、お菓子や嗜好飲料は「楽しく適度に」とされ、1日200kcal程度が目安とされています。
甘いものは、食事のあとのお楽しみとして取り入れるのがよいでしょう。
お酒で疲れをとろうとする
「疲れたから一杯」とお酒を飲む人もいるかもしれません。
けれど、お酒は疲れをとってくれるものではありません。
厚生労働省の研究班による睡眠アドバイスシートでは、眠るためのお酒(寝酒)は効果がだんだん薄れ、依存のリスクもあるとされています。
眠りの質が下がれば、翌朝に疲れが残りやすくなります。
疲れている日ほど、お酒は控えめにしておくのが安心です。
寝る直前にたくさん食べる
帰りが遅く、寝る直前にたくさん食べてしまうと、胃腸が休まらず、眠りが浅くなることがあります。
夕食が遅くなる日は、量を控えめにして、消化のよいものを選びましょう。
夕方に軽くおにぎりなどを食べておき、帰宅後はスープだけにする、というように分けるのもひとつの方法です。
食事を整えても疲れがとれないとき
食事に気をつけても疲れが続くときは、ほかの原因が隠れていることもあります。
食事以外の面からも、体の状態を見直してみましょう。
睡眠や休み方も見直す
疲れをとるうえで、食事と同じくらい大切なのが睡眠と休息です。
寝ても疲れが取れない原因や、食事以外の回復の方法は、疲れが取れないときの対処法:寝ても疲れが取れない原因と、今日からできる疲労回復の方法でくわしく紹介しています。
眠りの質を高める生活習慣については、睡眠の質を高める方法|厚生労働省のガイドに沿った生活習慣と寝室の整え方もあわせて読んでみてください。
長く続くときは病院に相談する
次のようなときは、食事だけでなんとかしようとせず、医療機関に相談してください。
- 十分に休んでも、だるさや疲れが2週間以上続いている
- めまいや立ちくらみ、息切れ、動悸がある
- 食欲がない状態が続き、体重が減ってきた
- 気分の落ちこみが続き、何をしても楽しめない
貧血や甲状腺の病気など、体の病気が疲れの原因になっていることもあります。
まずはかかりつけ医や内科で相談してみましょう。
よくある質問
Q. 疲れたときに甘いものを食べるのはよくないですか?
A. 少量を楽しむ分には問題ありません。
ただ、甘いものだけで食事を済ませると、体の回復に必要なたんぱく質やビタミンが不足します。
食事をきちんととったうえで、お楽しみとして取り入れるのがおすすめです。
Q. 栄養ドリンクは疲労回復に役立ちますか?
A. 栄養ドリンクには、ビタミンなどのほかに、カフェインや糖分が含まれているものもあります。
一時的に元気が出たように感じても、疲れそのものがとれるわけではありません。
飲む場合は成分表示を確かめ、夕方以降はカフェイン入りのものを避けると安心です。
Q. 朝は食欲がなくて、何も食べられません。
A. 無理にしっかり食べなくても大丈夫です。
バナナやヨーグルト、温かいスープなど、口にしやすいものを少しだけでもとってみてください。
朝に何か口にすると、一日のリズムが整いやすくなります。
Q. 疲れているとき、夜遅くに食べるならどんなものがいいですか?
A. 胃腸に負担の少ない、消化のよいものがおすすめです。
具だくさんのスープやうどん、豆腐料理など、温かくて量を調整しやすいものを選んでみてください。
揚げものや脂っこいものは、できるだけ控えましょう。
まとめ:疲れた体は、毎日の食事で少しずつ支えていく
この記事について、あらためて整理します。
この記事のまとめ:
- 疲れたときこそ食事を抜かず、主食・主菜・副菜をそろえることが回復の土台になる
- 糖質をエネルギーに変えるビタミンB1は、豚肉や大豆、玄米などに多く含まれる
- 体をつくるたんぱく質、酸素を運ぶ鉄、体の調子を整える野菜や果物も、疲れたときに意識したい
- 飲み物は水やお茶でこまめに補い、カフェインは量と時間を決めて楽しむ
- 料理する気力がないときは、コンビニで「主食+たんぱく質+野菜」をそろえ、冷凍品や缶詰を活用する
- 甘いものだけの食事やお酒での疲れとりは控え、疲れが長く続くときは病院に相談する
疲れた体を支えるのは、特別な食材ではなく、毎日のふつうの食事です。
完璧を目指さなくても、いつもの食事に一品足すだけで、体はちゃんと応えてくれます。
まずは今日の食事に、ゆで卵や具だくさんのみそ汁をひとつ足してみてください。
その小さな積み重ねが、疲れにくい毎日をつくっていきます。
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