森林浴とは?意味・効果・やり方・発祥をやさしく解説【アーシングとの相乗効果も】

「Shinrin-yoku(シンリンヨク)」。
日本で生まれたこの言葉は、今では海外でもそのまま通じるほど、世界に広まっています。

森の空気を胸いっぱいに吸いこみ、木々の緑や鳥の声、土のにおいに包まれる。
それだけで、こわばっていた心と体がふっとゆるんでいくのを感じたことがある方も多いでしょう。
その心地よさは、気のせいではないことが、研究でも少しずつ明らかになってきました。

この記事では、森林浴の意味と発祥、研究でわかっている効果、今日からできるやり方を紹介します。
裸足で大地にふれるアーシングとの組み合わせ方や、森林浴を楽しむときの注意点もまとめました。

この記事でわかること
  • 森林浴の意味と、言葉が生まれた発祥がわかる
  • ストレスや免疫など、研究でわかっている森林浴の効果がわかる
  • 五感を使った森林浴のやり方と、持ち物・服装がわかる
  • アーシングと組み合わせる森林浴の楽しみ方がわかる
  • 森林浴におすすめの場所・季節と、注意点がわかる
目次

森林浴とは?意味と発祥をやさしく解説

まずは、森林浴という言葉の意味と、その始まりを見ていきましょう。

森の空気に包まれて、五感でくつろぐこと

森林浴とは、森のなかに身を置き、森の空気や景色、音、香りを五感で味わいながら、心と体をくつろがせることです。
日光を浴びる「日光浴」や、海の空気を浴びる「海水浴」のように、森の空気を全身で浴びるイメージから名づけられました。

山登りのように、頂上を目指して歩く必要はありません。
ゆっくり歩いたり、ベンチに座ったり、ただ木々を眺めたりするだけでも、立派な森林浴です。

「森林浴」は1982年に林野庁が提唱した言葉

内閣府の広報誌「Highlighting Japan」によると、「森林浴」という言葉は、1982年に林野庁が提唱したものです。
同じ年、長野県上松町の赤沢自然休養林で、全国で初めての森林浴のイベントが開かれました。

そのため、赤沢自然休養林は「森林浴発祥の地」として知られています。
発祥の地の歴史や訪れ方については、森林浴の発祥の地はどこ?長野・赤沢自然休養林から始まった歴史と、訪れるための手引きで詳しく紹介しています。

森林浴から「森林セラピー」へ

森林浴の心地よさは、その後、科学的にも調べられるようになりました。
同じく「Highlighting Japan」では、林野庁が2000年代に行った実証実験の成果をもとに「森林セラピー基地構想」を打ち出し、2006年に最初の6か所が認定されたと紹介されています。

森林セラピーは、森林浴の効果を健康づくりに活かそうとする取り組みのこと。
森林浴は「森で心地よく過ごすこと」、森林セラピーは「その効果を、根拠をもとに健康に役立てること」と考えるとわかりやすいでしょう。

森林浴の効果:研究でわかっていること

森林浴の効果については、これまでにさまざまな研究が行われてきました。
代表的なものを紹介します。

ストレスホルモンが減り、体がリラックスモードに

千葉大学の宮崎良文氏と池井晴美氏がまとめた「森林セラピーの効果」によると、森のなかを15分間歩いたときは、都市部を歩いたときと比べて、ストレスを感じると増える唾液中のコルチゾールが15.8%低くなりました。
リラックスしているときに高まる副交感神経の活動は102%高まり、ストレスを感じているときに高まる交感神経の活動は19.4%低くなったそうです。

同じ資料では、座って森を眺める「座観」を15分間行ったときにも、似た変化が見られたと報告されています。
歩かなくても、森のなかで静かに座っているだけで、体はリラックスモードに切り替わりやすいのです。

免疫の働きにも影響する可能性

森林浴は、体を守る免疫の働きにも関わる可能性があると言われています。
日本医科大学の李卿氏らの研究(2010年)では、2泊3日で森を訪れた人たちの、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性が高まり、その状態が旅行のあと30日以上続いていたことが報告されています。

NK細胞は、ウイルスに感染した細胞などを見つけて退治する役割を持つ細胞です。
一方で、同じように街なかを観光した場合には、こうした変化は見られなかったとされています。
森の木々が放つ「フィトンチッド」という香りの成分が、この効果に関わっていると考えられているそうです。

気持ちが落ち着き、心が軽くなる

森林浴のあとに「気持ちがすっきりした」「心が軽くなった」と感じる人は少なくありません。
木々の緑や、葉のゆれる音、鳥のさえずりは、頭のなかの考えごとから意識を離し、「今ここ」に戻してくれます。

忙しい毎日のなかで張りつめていた心が、自然のリズムにふれることで、ゆっくりほどけていく。
それが、森林浴のいちばんの魅力かもしれません。

研究の結果は、まだ少人数のものも多い

ここで紹介した研究には、参加した人数が少ないものも含まれています。
森林浴は、病気を治すための治療ではありません。

効果を期待しすぎず、「森で過ごすと気持ちがいい」という感覚を大切にしながら、暮らしに取り入れてみてください。
持病がある方や、体調に不安がある方は、医師に相談してから出かけると安心です。

森林浴のやり方

森林浴に、決まったやり方はありません。
ここでは、森林浴をより深く味わうためのコツを紹介します。

場所を選ぶ

森林浴というと、山奥の森を思い浮かべるかもしれませんが、近くの公園や神社の森でも十分に楽しめます。
大切なのは、木々に囲まれて、少しでも街の音から離れられる場所を選ぶことです。

慣れてきたら、森林セラピー基地のような、森林浴のために整えられた場所を訪ねてみるのもおすすめ。
歩きやすい道が整備されていることが多く、初めての方でも安心して楽しめます。

五感を使って、ゆっくり歩く

森に着いたら、いつもよりゆっくりと歩いてみましょう。
急いで目的地に向かうのではなく、まわりに意識を向けながら歩くのがポイントです。

  • 見る:木漏れ日、葉の色、木の幹の模様
  • 聴く:鳥の声、葉のゆれる音、川のせせらぎ
  • かぐ:木の香り、土や草のにおい
  • ふれる:木の幹や葉、ひんやりした空気
  • 味わう:持ってきた温かいお茶や、深呼吸したときの空気

ときどき立ち止まって、目を閉じて深呼吸をしてみてください。
森の空気が、体のすみずみまで行きわたっていくのを感じられるはずです。

座って、ただ森を眺める

歩くのが苦手な方や、疲れているときは、ベンチや切り株に座って過ごすだけでもかまいません。
前の章で紹介したように、座って森を眺めるだけでも、体はリラックスしやすくなります。

スマホはしまって、ぼんやりと木々を眺めたり、目を閉じて音に耳を澄ませたりしてみましょう。
15分ほど静かに過ごすだけで、気持ちがゆるんでいくのを感じられるでしょう。

時間・服装・持ち物の目安

森林浴は、まず1時間から2時間ほどを目安に始めてみてください。
半日や一日かけてゆっくり過ごすと、より深く森を味わえます。

  • 服装:歩きやすい靴、長袖・長ズボン、重ね着できる上着
  • 持ち物:飲み物、タオル、雨具、虫よけ、ばんそうこう
  • あると楽しいもの:レジャーシート、温かいお茶を入れた水筒、小さなノート

森のなかは、街より気温が低いことがあります。
季節を問わず、羽織るものを一枚持っていくと安心です。

アーシングとの相乗効果

森林浴とあわせて楽しみたいのが、アーシングです。
森林浴とアーシングを組み合わせる方法を紹介します。

アーシングとは

アーシングとは、裸足で地面にふれたり、大地に手をあてたりして、体と地球をつなぐことを指します。
スピリチュアルや健康の分野では、たまった静電気を逃がし、心と体を整える方法として紹介されることが多いものです。

アーシングの効果については、まだ研究が十分とはいえない部分もあります。
それでも、土や草の感触を素肌で感じる時間は、それだけで心地よく、気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。
くわしくは、アーシングとは?意味・効果・やり方・怪しいと言われる理由まで徹底解説で解説しています。

森のなかで、大地にふれる

森林浴の途中で、安全な場所を見つけたら、靴を脱いで、裸足で土や芝生の上に立ってみてください。
足の裏で地面の冷たさややわらかさを感じながら、ゆっくり深呼吸をします。

裸足になるのが難しいときは、木の幹に手のひらをあてたり、土に手をふれたりするだけでもかまいません。
森の空気と大地の感触を、同時に味わう時間になります。

アーシングをするときの注意点

裸足になる前に、地面に石やガラス片、とげのある植物がないかを確かめてください。
濡れた岩場や急な斜面は、すべりやすいので避けましょう。

また、草むらにはマダニなどの虫がいることがあります。
裸足になるのは、整備された芝生や、見通しのよい土の上にとどめておくと安心です。

森林浴におすすめの場所と季節

森林浴は、身近な場所でも、季節を問わず楽しめます。
場所選びと、季節ごとの楽しみ方を紹介します。

身近な公園や、都市の森でも楽しめる

遠くまで出かけなくても、近くの大きな公園や神社の森、緑の多い散歩道で、森林浴は楽しめます。
平日の朝や夕方に30分ほど歩くだけでも、気分転換になるはずです。

都内や近郊でも、森林浴を楽しめる場所はたくさんあります。
おすすめのスポットは、東京で森林浴を楽しむ方法:都内・近郊のおすすめスポットとひとり時間の過ごし方でまとめています。

森林セラピー基地を訪ねる

森林浴をじっくり楽しみたいときは、森林セラピー基地に足をのばしてみるのもよいでしょう。
「Highlighting Japan」によると、2019年の時点で、森林セラピー基地は全国64か所に広がっているそうです。

基地によっては、ガイドと一緒に歩くプログラムや、森のなかでのヨガや瞑想の体験が用意されていることもあります。
出かける前に、それぞれの基地の情報を確認してみてください。

季節ごとの楽しみ方

森林浴は、季節によってまったく違う表情を見せてくれます。

  • 春:芽吹いたばかりのやわらかな緑と、花の香りを楽しむ
  • 夏:木陰の涼しさと、深い緑の香りに包まれる
  • 秋:紅葉の色と、落ち葉を踏む音を味わう
  • 冬:葉を落とした木々のあいだから差しこむ光と、澄んだ空気を感じる

同じ森に季節を変えて訪れると、そのたびに新しい発見があります。
お気に入りの森を見つけて、季節ごとに通ってみるのもおすすめです。

森林浴を楽しむときの注意点

森林浴を安全に、心地よく楽しむために、知っておきたい注意点を紹介します。

天気と、出かける前の情報を確認する

森のなかは、天気が変わりやすいことがあります。
出かける前に天気予報を確認し、雨や雷が予想されるときは、無理をせず別の日にしましょう。

山あいの森へ出かけるときは、自治体などが出しているクマの出没情報も確認しておくと安心です。
人の少ない時間帯や、整備されていない道には、ひとりで入らないようにしましょう。

無理をせず、体調に合わせて過ごす

森林浴は、がんばるものではありません。
疲れを感じたら、こまめに休憩をとり、水分をとりながら過ごしてください。

足元が不安なときは、平らで歩きやすい道を選ぶことも大切です。
「少し物足りない」と感じるくらいで切り上げると、また行きたいという気持ちが続きます。

森を大切にする

森林浴は、森からの恵みを受けとる時間でもあります。
植物を折ったり、持ち帰ったりせず、ゴミは必ず持ち帰りましょう。

決められた道を歩き、森に住む生きものたちのすみかを荒らさないことも大切です。
森を大切にする気持ちが、森林浴の時間をより豊かなものにしてくれます。

よくある質問

Q. 森林浴は、どのくらいの時間すれば効果がありますか?
A. 研究では、15分ほど森を歩いたり座ったりするだけでも、体がリラックスする変化が報告されています。
まずは1〜2時間を目安に、無理のない範囲で楽しんでみてください。

Q. 近所の公園でも、森林浴になりますか?
A. なります。
木々に囲まれた場所で、ゆっくり過ごすことができれば、身近な公園でも森林浴は楽しめます。
日々の散歩に取り入れてみるのもおすすめです。

Q. 雨の日の森林浴は、やめたほうがいいですか?
A. 小雨であれば、雨にぬれた木々の香りを楽しめる、という魅力もあります。
ただし、足元がすべりやすくなるので、無理は禁物です。
強い雨や雷が予想されるときは、別の日にしましょう。

Q. ひとりで森林浴をしても大丈夫ですか?
A. ひとりで静かに過ごす森林浴も、心地よいものです。
ただ、人の少ない山道や、整備されていない場所にひとりで入るのは避けましょう。
行き先と帰る時間を、家族などに伝えてから出かけると安心です。

Q. 森林浴とアーシングは、一緒にしたほうがいいですか?
A. どちらか一方だけでも楽しめます。
森のなかで安全な場所を見つけたら、裸足で大地にふれる時間を少しだけ加えてみる、くらいの気軽さで取り入れてみてください。

まとめ:森林浴は、森の力を借りて心と体をゆるめる時間

この記事について、あらためて整理します。

この記事のまとめ:

  • 森林浴とは、森の空気や景色、音、香りを五感で味わいながら、心と体をくつろがせること
  • 「森林浴」は1982年に林野庁が提唱した言葉で、長野県の赤沢自然休養林が発祥の地とされる
  • 研究では、ストレスホルモンが減る、副交感神経の働きが高まる、NK細胞の活性が高まるといった変化が報告されている
  • やり方は、五感を使ってゆっくり歩くことと、座ってただ森を眺めること
  • 裸足で大地にふれるアーシングと組み合わせると、森の空気と大地の感触を同時に味わえる
  • 出かける前には天気やクマの出没情報を確認し、無理をせず、森を大切にしながら楽しむ

森林浴は、遠くの特別な森に出かけなくても始められます。
近くの公園の木陰で、ゆっくり深呼吸をするだけでも、森の力はちゃんと届いてくれるはずです。

今度の休みには、少しだけ足をのばして、緑の多い場所を歩いてみてください。
その一歩が、心と体をゆるめるはじまりになります。

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